昔、数学の先生が
「確率過程はωを一つとってきてもパスは一本には定まらない。
一本もどきで定まる。」
って言ってて!!!ってなったことがありました。
今回はそれがどういうことなのかというお話です。
今回はそのことについて備忘メモ的に書いておきたいと思います。
まぁつまりは
「ω一つとってきて二次変分(らしきもの)を
定義しようとするとうまくいかない」
って話なんですけど、
二次変分が発散する?
1次元Brown運動の(ほとんど全ての)シナリオと任意の時刻を固定するごとに、次のような分割(infinitesimal sequence of partitons) が存在する
( はωやに依存する。)
二次変分は、
分割の取り方に依存しないことが要求されるので、
ωを一つに定めてしまうと二次変分がorz...ってことですね
それでは証明を3ステップに分けて書き連ねていきたいと思います。
[証明]
一般性を失わず を仮定する。またを一つ固定する。
step.1
に対して、 ]と定義し、事象 を
={少なくとも 個の添字に対して }
と定義する。
この時、となるような添字の個数は二項分布に従うので、
期待値はで標準偏差はとなる。
を固定してとする時、
中心極限定理により二項分布は正規分布に近づくことも考えると、
に対して
ゆえに
(このstepでは、0から1の間をn等分して考えている)
step.2
に対して、事象を
={ 少なくとも 個の添字に対して
}
と定義する。
であることに注意すると、
step.1と同様の議論よりに対して
ゆえに
よって事象を
と定義すると
(このstepでは、0から1までをM等分してさらにN等分、つまりM*n等分して考えている)
step.3
これ以降、ωを固定する。
分割のノルムが以下 かつ
となる分割の存在を以下に示す。
ω を満たすが存在する。
]の形の小区間()のうち、
を満たすものの和集合をと記すと
ゆえに
次に、ω を満たすが存在する。
]の形の小区間()のうち、
に包含されておらず、しかも を満たすものの和集合をと記すと
ゆえに
同様にしてと繰り返し定義していくとを満たすに対して
なので、
に属する小区間たちの二次変動の総和は以上である
(各小区間における二次変動は、
区間幅*k以上であることが定義から保証されているため)
[終]
確率空間上の議論からしれっと時間軸上の議論に展開していっててすごいですね!